ドイツの森の散歩道 

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読書:「海からの贈物」リンドバーグ夫人

今年の夏のギリシャ旅行中に読んだ本。

「海からの贈物」リンドバーグ夫人

朝、花瓶一つに花を活けるのは、詩を一つ書いたり、一度だけでもお祈りするのと同様に、忙しい一日の間、ある静かな気持ちを失わずにいる結果になることもある。要するに、少しでも自分の内部に注意を向ける時間があることが大切なのである。P50


古めかしい新潮文庫の表紙、著者は飛行士リンドバーグの夫人で自らも女性飛行士として名を馳せた女性。そのことから飛行士として大空を飛んだ経験も合わせて『大自然に人間が学ぶべきこと』というような教訓的な本なのかな、と勝手に想像していましたが、大違い。

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素晴らしい肩書きも先駆的女性というとんがった姿勢も一切出てこない。5人の子供を持つ主婦が家族から離れ一人で島で休暇を過ごし、女性としての自らの環境や内面を静かに洞察している作品です。海辺で見つけた様々な「貝」〜海からの贈物〜に女性の姿を投影し、本全般に、夜明け間もないひっそりとした海辺で語られているかのようなトーンが広がっています。

思想だけを語る本は翻訳によっては読みづらく感じることもあるのですが、この本は読んでいて一切違和感がなく、どこか朝吹登水子さんのサガンの翻訳を彷彿させる文体。訳者の「吉田健一」ってどんな人だろう…と調べたら、なんと吉田茂のご長男でケンブリッジ中退の英文学者だそうです。

印象に残った部分をいくつかご紹介。

やどかりが出て行ったあとと思われる、美しい「ほら貝」。

私が住んでいる貝殻である私の生活は、こんなではない。それはなんと目も当てられないものになっていることだろうか。苔が蒸し、寄生した藤壺でゴツゴツして、それが本当はどんな格好をしているのかさえもわからなくなった。しかしこれも初めはちゃんとした格好をしていたはずで、私の頭の中ではまだそれがそのまま残っているつもりである。
私は簡易な生活を望み、やどかりのようになんでもなく運んで行ける殻の中に住みたい…しかし、それは私にはできないことで、私の生活は簡易であることを目指すのに向いていない。…食べ物や住居の問題、料理屋、家計簿や、買い物や、請求書や、なんとかして収支を償わせること、…医者や、歯医者や、診察の時間や、薬や…学校での集会や、キャンプや、キャンプ生活に必要な道具や、洗濯、繕い、スカートを長くしたり、ボタンをつけたり…

私たち、アメリカの女はなんという芸当をやってその日その日を過ごしていることだろう。…私たちは毎日、本屋、乳母車や、日傘や、台所の椅子を頭に載せて綱渡りをしている。…それは私たちを統一にではなくて分裂に導き、恩寵を授ける代わりに私たちの魂を死なせる。

「つめた貝」

(家族や仕事から離れ、一人で過ごす島での休暇について)過去と未来は切り離されて、ここには現在だけしかない。…「ここ」と「今」しかない時、子供、あるいは聖者のような生き方をすることになり、毎日が、そして自分がすることの一つ一つが時間と空間に現れた島であって、どれもが島も同様に、それだけで充足した性格を帯びる。


他の小さな貝殻がたくさんついて不恰好にでこぼこしている「牡蠣」

それは、家族が大勢いる家が必要に応じてだんだん建て増しをして、子供たちのために寝部屋を一つ増やしたり、その遊び場にヴェランダを作ったり、ガレージや自転車を置く小屋を足したりするのに似ている。…結婚して何年か経った多くの女がしている生活のようでもあって、見ていて可笑しくなる。いかにもごたごたしている感じであらぬ方向に拡がり、いろいろなものが付着していて。生きている間は私たちの生活と同様に、岩にしっかり根を降ろしている。

アメリカで出版されたのは1955年だそうですが、60年経った現在の女性にも驚くほど共通する普遍的なテーマの本で、手元に残していきたい一冊となりました。



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# by midori-de | 2017-07-23 01:04 | 読書:ドイツ以外 | Comments(0)

買ってよかった、体組成計と光脱毛機。 

上半期に買って良かったもの!

ずっと存在は知っていたけれど、今年何故だか買う気になりネットで購入したもの。


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体組成計と、光脱毛器。日本の方には「今さら?」って感じでしょうが…。

まず、体組成計。
ワタクシ、これまで「脂肪率」「骨量」などを測る機会がありませんでした。30歳ごろに海外移住して、人間ドックも受けたことないし…。
年齢的にも、そろそろ気になっていたんですよね。
ドイツアマゾンで検索すると、現地ブランドと並んで「タニタ」や「オムロン」のものも意外と何種類か並んでいます。
お値段安めの日本で買うか悩みましたが、夫も使うことを考えてマニュアルや表示がドイツ語のドイツで購入。

意外とこの歳でも揚げ物も好きだし、スポーツはしているとはいえ小魚なんて食べる機会もなく、骨がスッカスカの脂肪クラゲだったらどうしよう…なんて最悪を覚悟して計測したのですが…結果は、脂肪、筋肉量、骨量などなど全て驚きの好成績。体内年齢なんてマイナス15歳!👍
何かの間違いかと思いましたが、夫はそれなりの数値が出ていますので、正しいと信じています(笑)。

一度測れば満足かと思いきや、入浴の前後、日によって、食べたものによって、脂肪率はかなり変わって来るのが面白くて、購入して数ヶ月経ちますがしょっちゅうチェックしています。これが体重管理にも役立っているかも。

光脱毛機。
半信半疑で購入しましたが、これ、効果あります!
実はホリデー前の1ヶ月ほど、右腕、右足だけこちらを使い、左腕、左足は従来のセルフケアにする実験をしていました。
そして1週間のホリデー中はほったらかしの結果… 左右大違い(笑)。

ドイツ在住日本人の方のブログで「光脱毛器」を絶賛していたので検索、値段もピンキリで迷いに迷いましたが、真ん中あたりのお値段の2万円ほどで購入。もっと早く(若い時に)買えばよかったわ…。




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# by midori-de | 2017-07-18 00:11 | 美容 | Comments(3)

あと18日! 娘を待つ親心。

今年のホリデーはギリシアのとある島で過ごしました。

革製品のお土産物屋さんでのこと。
「ここにあるバッグは全部僕がデザインしてハンドメイドしたんだよ!」と誇らしげな60代くらいのおじさん。
夫があれこれチェックして小さめショルダーを選びました。

レジ横には20代と思しき綺麗なお嬢さんの写真がペタペタ貼ってあります。
「これは娘さんですか?お綺麗ですね」と私が声をかけたところ「そうなんだよ〜、僕の娘たちだよ!!」と嬉しそうに、メガネがずり落ちそうなほど相好を崩しました。

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島のレストランのディスプレイ。


「お二人ともこの島に住んでいるんですか?」と聞くと「一人は島にいるんだ。でも、一人はニューヨークに住んでいて、あと18日で帰って来るんだよ、あと18日!!」と。

あと2週間くらい、でも、3週間弱、でもなく、「18日」…と即答したということは、それはそれは楽しみにして毎日指折り数えて待っているのでしょうね。

島のあちこちを観光しながら、若者は海外に出る人が多いのかしら…と疑問に思っていたのでふと尋ねてみたのですが、国は変わっても同じ親心に触れた気がして温かい気持ちになりました。



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# by midori-de | 2017-07-17 00:33 | 旅行 | Comments(0)